現地の子どもたちの、口内環境向上を目指して

当院では毎年、カンボジア・シェムリアップ州にて診察やブラッシング指導などの歯科ボランティアを行っています。
2019年度は、活動趣旨にご賛同いただいた日本大学医学部付属板橋病院のドクターにもご参加いただき、 当院と合わせて計5名の歯科医師・2名の衛生士・2名のスタッフが現地に赴きました。

ボランティア活動期間中は、予約がとりづらいなど日本の患者様にご不便をおかけしましたが、
おかげさまで今年も約700名の子どもたちを診察・治療することができました。
【訪問期間:2019年7月14日~19日(うち3日間で診察・治療)】

2019年7月14日

日本からカンボジア・シェムリアップへ移動

シェムリアップへは直行便がないため、ベトナムで乗り継いで向かいます。約10時間のフライトです。
ホテル到着後は、翌日からの活動に備え、持ち込んだ診療器具や備品のチェック、手順確認を行いました。

今年は計9名(5名の歯科医師・2名の衛生士・2名のスタッフ)が参加。シェムリアップの広い空のもと、翌日からの診療に備えます。

2019年7月15日

活動1日目

コーンカセコー孤児院

ボランティア活動1日目は、現地孤児院で70人の子どもたちを診察、うち治療が必要な子供たちは、15名。
抜歯や虫歯の進行を止めるような処置を行いました。

シェムリアップの子どもたちは、家庭環境に関わらず「歯磨きをしなければいけない・しないと虫歯になる」という認識が低く、また虫歯になっても近くに病院がないため「歯医者で治療する」という選択肢もありません。

はじめて歯科検診を受ける子どもたち。
「痛いことをされるのでは?」と、怖がり泣き出してしまいそうなお子さんもいました。

青空のもと、診察を行いました。手前は日本大学医学部付属板橋病院の永井医師、奥が眞宮医師です。

気温約30度・湿度100%の蒸し暑い中、扇風機で涼をとりながら汗だくで診察します。

2019年7月16日

活動2日目

クヴィアン小中学校

クヴィアン小中学校は、当院も参画するNPO共生フォーラムの活動「カンボジアの子供たちから、元気をもらおう大作戦!」の、第1期プロジェクトで2012年10月に開校しました。
こちらでは、233名の子どもたちの歯科検診と、ブラッシング指導を行いました。

▼NPO共生フォーラムの詳細
https://tomoniikiru.or.jp/ (クリックすると別ウィンドウに表示されます)

日本大学医学部付属板橋病院の先生方が紙芝居を手作りして、クヴィアン小中学校の子どもたちに口腔ケアの大切さを説明されました。

ケーオーデンタル株式会社様のご厚意で提供いただいた歯磨きセットを子どもたちに配り、歯の磨き方を練習しました。
みんな真剣な表情で歯磨きを練習します。

教室を使って、歯科検診を行いました。

毎年検診に来ている小中学校のため、子どもたちも歯科検診に慣れてきたよう?
元気に大きな口を開けてくれました。

2019年7月17日

活動3日目

バンティアチャイ小中学校

3日目は2日目とは別の学校で、400名の子どもたちの歯科検診と、ブラッシング指導を行いました。
その後、前述のNPO共生フォーラムが建設した児童養護施設「共生の家」を見学しました。

2019年6月に完成したばかりの建物です。 子どもたちが安心して健やかに穏やかに成長し、やがてひとり立ちできるようにと建設されました。

炊事は厨房で職員が行いますが、子どもたちがお手伝いすることもできます。

みんなでご飯をいただく食堂です。

当院も寄付などの活動に参画させていただきました。

カンボジアの歯科事情

カンボジアは1970年代後半、ポル・ポト政権時代の極端な共産主義による知識層の大量粛清により、歯科医師を含む多くの医療関係者・教育者が犠牲になりました。その影響はいまだ続いており、現在も歯科医師はカンボジア全土で僅か300人程。多くが都会に集中しているため、シェムリアップをはじめとする地方都市で歯科治療を受けることはとても困難な状況です。

予防歯科の考えについても浸透しておらず、そのため歯磨き習慣のないご家庭が多く、ブラッシング指導で初めて歯ブラシを触ったお子さんもいました。
私達が診察した子ども達の中には、乳歯のほとんどが虫歯になっていたり、歯が黒く変色するまで虫歯が重度に進行していたケースもありました。

予防歯科について知識がない、虫歯になっても治療できない、痛くても我慢するしかない過酷な状況は、子ども達の健やかな成長を阻害しているといっても過言ではありません。

私たちフォレストデンタルクリニックグループは、歯科医療に携わる者の当然の責務として、これからもカンボジアでのボランティア活動を行っていく所存です。